任意整理・自己破産・個人再生の違い【メリット・デメリットの比較】

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今回は、債務整理の内容にどう違いがあるのかまとめていきたいと思います。任意整理、自己破産、個人再生のそれぞれについてメリット・デメリットやどういう考え方で債務整理の手段として選択されるのかをわかりやすく解説していきます。

監修者について

監修者プロフィール:株式会社Crepas 代表取締役 牧村和慶
お金や借金の問題について弁護士や司法書士への取材活動を行い、正しい知識を発信して借金問題の解決に尽力している。司法書士や法律事務所への取材実績はこちら

当サイトで表示する内容は以下に記す団体、法律を参考に情報をまとめています。

参考:貸金業法
参考:日本弁護士連合会(日弁連
参考:日本司法書士連合会
参考:法テラス

債務整理の内容の違いとは?

ひとくちに債務整理といっても対処する内容によって呼び名が異なりますし、借金の解決方法はそれぞれ異なります。つまり、債務整理を行うといっても任意整理なのか自己破産なのか個人再生(民事再生)なのかで内容は異なるわけです。

これらは自分で選択することはほぼありません。基本的には自身で可能ではありますが、裁判所に出向くなど相当時間と手間がかかりますし精神的にも大変です。ですので、債務整理を行っている弁護士や司法書士の先生の事務所に相談するのが一般的です。

相談したときに初めて債務整理として任意整理なのか自己破産なのか個人再生なのかを弁護士や司法書士の先生に最適な方法を提案してもらい、それに対して対処の依頼をするということになります。自分で選ぶわけではないとはいえ、自分自身でも借金解決の方法としてそれぞれの債務整理内容は理解しておいたほうが良いでしょう。それは適切な事務所を選ぶポイントにも繋がります。

任意整理・自己破産・個人再生の比較表

3つの債務整理の手法について解決方法やメリット・デメリット、その他の特徴について表で解説します。

任意整理 自己破産 個人再生
基本的な解決方法 借金の完済 借金支払い義務の解除 借金の完済
弁護士・司法書士への依頼必要性 必要 自身で解決可能だが裁判所によっては必須のところもあり
費用・料金 減額成功報酬10%程度+
過払い金成功報酬20%程度
20万円~30万円程度
+諸費用
20万円~30万円程度
+諸費用
メリット ・取り立ての停止
・過払い金の返還
・名前が官報に載らない
・借金を支払わない
・経済的な再出発
・任意整理より減額が大きい場合もある
・職業の制限を受けない
・自宅を手放さなくて良い
デメリット ・信用情報機関(ブラックリスト)に登録される
・和解後は自助努力で返済する
・信用情報機関(ブラックリスト)に登録される
・名前が官報に掲載される
・保有資産(自宅など)は処分される
・信用情報機関(ブラックリスト)に登録される
・名前が官報に掲載される
・手続きが複雑

任意整理の特徴とメリット・デメリットについて

任意整理の特徴としては大きなポイントとして借金は返済するということです。自己破産と比べるとここが大きな違いとなります。返済はし続けますので完済することで債務整理が完了するということになります。

メリットとしては上記の表の通りですが、完済後は普通に生活できますし、債務整理手続き途中においても取り立ての停止ができたりとメリットは大きいです。なお、これらは司法書士や弁護士に依頼する必要がありますのでご注意ください。基本的には任意整理は自分自身では行えません。

また、過払い金の返還請求も任意整理の中で行われます。ほとんどの場合、金融業者との交渉時には過払い金による借金の減額の可能性があるため返済額の引き直しが行われます。

一方デメリットとしてはどうしても信用情報リスト(ブラックリスト)には載ってしまいます。しかし、それはそれで前向きに考えて載ってしまってはお金を手にするようなクレジットカードや新規の借り入れができないといったことなので、完済すれば問題なく生活できます。

自己破産とは

自己破産は借金を返さなくても良くなる方法となります。ただし、借金の内容次第(悪質な利用実績、ギャンブルなど)では返済が求められるケースもあるので借りるだけ借りてあとは返さなくても良いというような方法はできませんので注意が必要です。

メリットとしてはお金を返さなくてよくなるということで綺麗さっぱり再出発できるということがあります。本当にどうしようもなく借金に悩んでいて、これ以上返せないという場合には自己破産は行うべきです。

デメリットはこちらも信用情報機関に載ってしまうことがあげられます。一旦載ってしまうと、借り入れやクレジットカード、融資などは難しいでしょう。専門家の弁護士や司法書士の先生からはデメリットとしていろいろとお話を聞けると思うのでよく考えてから自己破産を行ってください。

なお、資産は全て売却されるなど処分されます。生活は変わるのである程度、自己破産後はどういった生活になるかは想定しておいたほうが良いでしょう。

自己破産のメリット

大きなメリットの特徴としては、借金の返済義務が無くなることです。借金の取り立てもとまります(任意整理でも弁護士などが金融業者に対して通告した時点で止まります)。

自己破産で残すことができるもの・差し押さえされないもの

なお、全てが無くなるというわけではありません。99万円までの現金は自己破産後も手元に残すことが可能です。

同じ理由で家財道具や生活用品は残すことが可能です。生活にどうしても必要なもの、洗濯機、冷蔵庫、電子レンジ、エアコン、29インチ以下のテレビ、掃除機、ベッド、食器棚などは差し押さえ禁止財産として指定されています。

他、売却して20万円以下になるようなものは差し押さえされないケースが多いです。売却に時間だけかかるからというのが理由のようです。

自己破産のデメリット

正直言って、メリットよりデメリットのほうが多いです。本当に自己破産すべきかは改めて確認したほうが良いでしょう。

  • 諸費用が必要
    • 弁護士など事務所に払うお金はピンきりで公的機関を利用して安くなっても15万円前後はどうしても必要になってきます
  • 財産は債権者のもとへ
    • 家やマンション、財産となるものは債権者のもとに支払い原資として処分されます
    • 預金も残すことはできません
  • 連帯保証人に請求がいく
    • 連帯保証人は債務者が自己破産したとしても免責になりません
  • 仕事が制限される
    • 免責されるまで特定の資格を有することができません
    • 保険の仕事や警備の仕事などもできません
  • 税金や保険料の支払いは必要
    • 国に支払う税金や国民健康保険料は支払う必要があります
  • 続けて自己破産できない
    • 7年間の間は自己破産はできません
  • 永久に記録に残る
    • 官報に告示され永久に自己破産を行ったという記録が残ります
    • 子供の奨学金など、影響がある分野もあります

自己破産は最終手段だと考えたほうが良いので、自己破産申請については慎重に行うべきです。

そういった点も法律事務所などで弁護士や司法書士に尋ねてみるのが良いでしょう。ただし、勧めてきた場合は疑ってくださいね。

自己破産にまつわる噂の真相

テレビや映画などで見られる噂があるようなので真相を本などで調べて調査しました。

  • 自己破産しても督促される?
    • 債権者は督促にはきません。もしあったら処罰されます
  • 家族や親戚に督促がくる?
    • 連帯保証人になっていた場合は別です
  • 自己破産を行った事実が住民票などに残る?
    • 住民票や戸籍には残りません。
  • 会社をクビ・解雇される?
    • 会社にバレることは基本的にありませんしクビにされることはありません
  • 生活保護に入れるのか?
    • 問題ないようです
  • 年金は受け取れるのか?
    • 国民年金を支払っていればもらえます
  • 選挙の投票権はある?
    • 投票できます
  • 引越しや旅行も普通に可能?
    • 問題ありません。監視もされません

以上が自己破産にまつわる噂についてです。基本的にはデメリットの部分だけどう感じるかですね。

自己破産は最終手段だと考えたほうが良いので、自己破産申請については慎重に行うべきです。

そういった点も法律事務所などで弁護士や司法書士に尋ねてみるのが良いでしょう。ただし、勧めてきた場合は疑ってくださいね。

個人再生の特徴とメリット・デメリットについて

個人再生は裁判所に申立は行いますので、自ら行おうと思えばできますが非常に複雑な手続きが必要になります。速やかな必要書類の提出、平日に裁判所に赴くなどの手間はどうしてもかかりますので弁護士や司法書士にお願いするのほうが良いでしょう。

個人再生は民事再生とも言われ、基本的には借金は返済していきます。任意整理と異なるのは借金を減額するという点です。もちろん過払い金請求などは行った上ですが、さらに減額して返済完了まで進めることになります。

自己破産と異なるのは上記したように返済は行うという点、資産はある程度守られるという点です。住宅は残すなどの最低限の資産を残した上で借金を減額して返済していきます。ただし、任意整理と自己破産と同じように信用情報機関への情報記載はされます。お金の借り入れやクレジットカードの利用などはできなくなることは注意してください。

勤務先への影響はほとんど無いので生活が変わるということは任意整理と同程度で自己破産のように一変するようなことは無いでしょう。

メリット・デメリットという意味では上記した通りですが、デメリットという点では1つ追加があります。事務所支払う個人再生の費用は自己破産よりも若干高くなっているのが通常です。住宅を残すのか残さないのかという点でも費用が変わってきますのでどの程度お金がかかるのか手続き前に確認しておいたほうが良いです。

個人再生とは?

まとめ 債務整理の種類の違い

債務整理の種類として任意整理、自己破産、個人再生の3つがありますが、それぞれメリット・デメリットがあります。

基本的な考えとしては任意整理が難しいなら個人再生、それでもダメなら自己破産という流れで検討するべきです。

借金は原則返すというのが通常の考えだと思います。どういった手続きが自分に適切なのかは債務整理を専門に行う弁護士の先生や司法書士の先生に相談するのがベストです。

多少の費用はかかっても借り入れを行った金融機関との交渉や裁判所の出入り、資料提出など相当大変なので事務所にお願いすることをおすすめします。

債務整理で借金が減額されるか不安な方は一度シミュレーションしてみると良いでしょう。以下のリンクより匿名かつ無料で減額診断を行うことができます。

牧村和慶

株式会社Crepas 代表取締役
マネーセレクト著者・監修者。お金に関わる分野の取材活動を通じて、債務整理、カードローン、節約など問題解決に尽力している。

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